塗装はすべて描いたもの
本物の塗装はデザイナーが描いた図面で、塗装工場がそれを機体に吹き付けます。同じ航空会社でも、機種ごとにまとい方が違います。ボーイング737は787より胴体が短く垂直尾翼も小さいので、社名ロゴ、ライン、尾翼のエンブレムは、機種ごとに別の位置に置く必要があります。
手っ取り早いのは、写真をモデルに貼り付けることです。しかし写真には反射や影や撮影した角度が写り込んでいて、回転するモデルの上では不自然に見えます。だから塗装はすべて描いています。チートライン、尾翼、社名ロゴ、エンジンの色、胴体下面の色。両側の本物の写真をもとに描き、それからもう一度写真と突き合わせます。写真は目で見るための参考であって、モデルに貼り付ける画像ではありません。典型的な塗装は1キロバイトに満たず、2キロバイトを超えるものはひとつもありません。この文章の2段落分ほどです。
いちばん時間がかかったのは社名ロゴです。胴体の社名は機種ごとに決まった位置があります。コックピットのすぐ後ろ、窓の列の上で、窓にかかることは決してありません。高さは塗装されるとおりメートルで指定し、機種によって大きく塗っている航空会社では、その機種に個別の補正を入れています。そうした補正のないワイドボディ機では、社名ロゴが胴体の高さに合わせて大きくなるので、大きな機体の上で埋もれることはありません。文字は私たちが簡略化したものです。各航空会社独自の書体ではなく、いくつかの一般的な書体、ゴシック体、明朝体、イタリック体のうち、いちばん近いもので社名を組んでいます。航空会社が社名を2つの文字で書いている場合は、機体と同じ順番で両方を入れています。
あえて省いているものがひとつあります。胴体後部の登録記号です。ひとつの図面が保有機すべてに使われるので、ある航空会社のボーイングが全機同じ登録記号を付けていたら、その絵はうそをつくことになります。


長距離機なら、社名にもゆとりがあります。中国東方航空はA330に英語と漢字の社名を並べて書いていて、私たちの描画でも2つの文字は機体と同じ位置にあり、尾翼のツバメは左右それぞれで正しい向きを向いています。漢字はオープンな書体から取った本物の字形で、アプリには図形として収めているので、どんなフォントが入っている端末でも同じに見えます。


左側と右側
本物の機体の塗装は、左右が鏡像になっているわけではありません。社名ロゴはどちらの側でも左から右に読めますが、鳥にはそれぞれの理屈があります。ターキッシュ エアラインズの雁は両側とも前に向かって飛んでいます。日本航空の鶴丸は両側とも同じ絵なので、片側では前を向き、反対側では後ろを向きます。私たちの描画では、どのシンボルも実機と同じルールに従っていて、両側の写真で確かめています。航空会社が反転させているラインや鳥は反転させ、社名ロゴと数字は決して反転させません。
同じエンブレムが、どの機種にも収まらなければなりません。雁の入った円はA350の高い垂直尾翼にはゆったり収まりますが、ボーイング737の小さな垂直尾翼では前縁からはみ出してしまうので、そこでは小さく、低く置いています。サウスウエスト航空の黄色と赤のラインは、短い737-700でも長い737 MAXでも、胴体から尾翼へと続いていなければなりません。そしてATRターボプロップ機のインディゴの社名ロゴは、コックピットとプロペラの間、どちらの側でもブレードに隠れない場所にしか入りません。
中東やアフリカの航空会社の垂直尾翼にある太陽、星、王冠、レバノンスギ、ヤシは、簡略化したベクター図形で、ロゴをコピーしたものではありません。そして尾翼には文字だけで十分なこともあります。それが正しければの話です。SASは垂直尾翼の低い位置に大きく、わずかに前傾させて、深い青の上に白で社名を入れています。いまは私たちの尾翼もそうなっています。


アズール航空は尾翼に色とりどりの四角で作ったブラジルの地図を描き、垂直尾翼の後縁に沿って黄色と緑の細い線を入れています。地図はごまかしがききません。向きを間違えれば、ブラジル人なら誰でもすぐに気づきます。私たちの地図は両側とも、2つの緑の四角が上、ふくらみが左、とがった先が下にあります。


モデルが成長するまで
最初のモデルは、筒に主翼が付いた程度のものでした。改良を重ねるたびに、メーカーの寸法入り図面から機体ファミリーごとに測った本物の機首、形としてのコックピットの窓、ファンの付いたエンジン、ブレードの付いたプロペラ、正しい数の車輪を持つ降着装置が加わっていきました。
A380には2列の窓がそろい、747にはこぶが、チヌークには2つのローターが、C-5には実機どおりの巨大な主翼が付きました。ヘリコプターのローターは、メーカーの造りどおりの向きに回ります。上から見ると、エアバスのヘリコプターのローターは時計回り、アメリカのヘリコプターは反対回りです。セスナの風防はキャビンの前面全体を覆い、どのモデルのどの窓とも同じく、当時は透けない暗いガラスでした。いまでは最初のいくつかの機種が透明なガラスになり、その奥にキャビンがあります。その様子はガラスの向こうに座る人の回で紹介しています。
10月上旬には、まとまった数の機種が、それぞれメーカー自身の図面から描いた新しい機体になりました。A220、ATR 42と72、A330、A350、そしてボーイング747と767のファミリーです。747には2階席の窓が並ぶこぶがあり、ATRには高翼と側面のポッドに収まった主脚が、A350には曲がった翼端があります。本物の機体の写真と並べると、輪郭が一致します。


新しい機体のうち6機種を、それぞれ本物の機体の同じ側の写真と並べました。まとっている塗装も私たちが描いたものです。
A220-300 · Air Canada


ATR 72-600 · SAS


A330-900 · TAP Air Portugal


A350-900 · Singapore Airlines


747-8 · Korean Air


767-300F · UPS


10便中9便
9月末の時点で243機種に詳細な3Dモデルがあり、合わせておよそ10便中9便をカバーしていました。大きくズームアウトすると簡略化したモデルに切り替わりますが、色は同じ塗装から取るので、離れていっても機体の色が変わることはありません。
中東、トルコ、アフリカだけでも、自社の塗装で表示される便の割合は、1回の改良で37.8%から92%に上がりました。そして、コールサインがいつも機体の色を教えてくれるとは限りません。アメリカのリージョナル航空会社は、提携する大手の色で飛んでいます。スカイウェストは複数の会社のために飛んでいて、最も多く運航しているユナイテッド・エクスプレスの塗装になり、リパブリック航空はアメリカン・イーグルとして飛んでいます。リースや姉妹会社も同じで、塗装はコールサインではなく機体に付いていきます。
あえて無地のままにしている尾翼もあります。アラスカ航空の尾翼にはアラスカ先住民の男性の顔、アエロメヒコには鷲の戦士、フロンティア航空には機体ごとに違う動物が描かれています。私たちは人物や肖像は描かないので、こうした尾翼には航空会社の色だけを付けています。
日本航空の鶴丸は尾翼の両側で同じ絵なので、片側では後ろを向いています。私たちのモデルでもそうです。
