図面と写真
現実の世界では、同じ大きさの機種どうしでさえ、見た目が同じものはありません。CRJはT字形の水平尾翼の下、胴体後部にエンジンを積み、A300は主翼の下に巨大なエンジンを2基、PC-12は機首にプロペラを1つ持っています。どの機種も胴体の長さ、主翼の折れ方、窓の数、ドアの位置がそれぞれ違います。スポッターはシルエットをひと目見ただけで機種を言い当てます。だからモデルもその試験に合格しなければなりません。
メーカーは空港の計画担当者向けに、機体の寸法をまとめた資料を公開しています。側面、上面、正面の図面、ドアの位置、地上からの高さ。私たちはそれをもとにモデルを作ります。ただ、図面はあくまで図面です。そこで各モデルを、Wikimedia Commonsにある実機の写真に、必ず同じ側、同じ角度で重ねます。モデルが写真を覆いきれないところに、違いが表れます。
こうして、上から見ているだけでは誰も気づかなかったものが見つかりました。私たちのCRJは、主翼付け根の下のフェアリングの上面が平らで水平になっていて、主翼の後ろで胴体から棚のように突き出し、後ろから見るとその下に切り欠きができていました。実機のフェアリングは、側面が垂直で底が平らな箱形です。いまは私たちのモデルもそうなっています。


逆のケースも考えました。間違って見えるのに正しいものです。CRJの主翼の後縁には折れ目があります。胴体の近くではほぼまっすぐ横に伸び、外側では後退しています。後ろから目の高さで見ると後縁はまっすぐに見えるので、折れ目はモデルの誤りのように見えます。しかしメーカーの図面にも描かれていて、下から撮った写真にも写っているので、そのまま残しました。
窓は両側の写真で決めました。CRJ700は非常口の後ろに6枚目の窓が加わりました。CRJ1000の非常口より前の窓は、図面にある17枚ではなく16枚です。両側から撮影された実機2機が16枚だったからです。図面と実機が食い違えば、実機が勝ちます。


四角い窓と5枚のブレード
ピラタスPC-12は、短い滑走路や草地の滑走路から飛ぶ、乗客数人乗りの単発ターボプロップ機です。単純な機体に見えますが、モデルは何度も作り直しました。客室窓は楕円形でしたが、実機は角の丸い縦長の長方形です。風防は暗い1枚の面でしたが、実機は中央に柱のある2枚のガラスで、その後ろに小さな三角窓があります。そして翼端には、上へ外へと反り返るウィングレットがありませんでした。
いまは窓の数と位置が、メーカーの図面と両側の写真に一致しています。左に4枚、右に5枚で、そのうち1枚は主翼の上の非常口にあります。右翼には、正面からの写真で翼端の球のように見える小さな気象レーダーのポッドが加わりました。
バージョンの選択も必要でした。古いPC-12は窓が丸みを帯び、最新型はより四角く、私たちのモデルは最新型に合わせています。プロペラも同じです。機種コードPC12からは、どのバージョンかは分かりません。古い機体はブレードが4枚で、2016年以降のPC-12は工場から5枚で出荷されています。私たちのネットワークで見るPC-12の便の大半は現行型なので、モデルのブレードは5枚です。


正面から見ると、両翼端でウィングレットが上に反り返っているのが分かります。私たちのモデルでは、レーダーポッドは右翼、つまり画像の左側にあります。


図面が間違っているとき
ボーイング737 MAXは、空で最もよく見かける機体のひとつです。737-8だけでも、10月5日までの1週間に私たちのネットワークで67,000便以上を数え、全機種で4番目に多い機種でした。MAXは737-800の弟分で、機体構造の多くを共有しています。そこで尾部は737-800の図面から取りました。これが間違いでした。
水平尾翼は1 m前に寄りすぎ、30%大きすぎました。737-800の図面は自己矛盾していて、側面図と上面図で水平尾翼の位置が違うのです。決め手になったのは、メーカーが公表している水平尾翼の面積と、MAXの図面でした。いまは私たちのモデルも実機と同じ32.8平方メートルです。
次は垂直尾翼でした。737-800とMAXを真横から、左右両側で撮った写真では、前縁の後退角は40度です。737-800の図面では36度になっています。ところが垂直尾翼はどちらのバージョンでも同じです。同じ場所、同じ角度から撮った写真の組で確かめました。間違っていたのは機体ではなく図面で、修正した垂直尾翼はいま737-800にもMAXにも付いています。

1つの尾翼を直したら、ほかも直りました。水平尾翼が細くなっていく胴体後部と接するところで、付け根が胴体から少しはみ出し、後ろから見ると隙間が見えていました。この接合部はすべての機体で共通のコードが描いているため、同じ欠陥が96機種にあり、ボーイング747では1 m近くもずれていました。1回の修正で全部が直りました。
最後の見直しは写真から来ました。737 MAXのモデルを10枚の写真に同じ角度で重ねると、大半が同じことを示しました。実機の主翼は少しだけ機首寄りにあるのです。MAXの図面でも、737-800と比べて30センチ前にあることが確認でき、主脚の位置は変わりません。その過程で、737-9は主翼が最大50センチ前に、737-7は1 m近く後ろにずれていたことも分かりました。いまは3機種とも合っています。


貨物便のA300
A300はエアバス最初の機体です。旅客として乗る機会はもうほとんどありませんが、UPS、FedEx、DHLの貨物機として、いまも夜のヨーロッパやアメリカの空を飛んでいます。10月6日までの7日間に、私たちのネットワークはA300-600とA310の便を1,713便とらえました。まだ固有の形を持っていなかったワイドボディ機のファミリーの中で最多です。
それまでは、汎用の生成プログラムが近い機種から描いていて、胴体は3 m以上短く、主翼の後縁には折れ目がありませんでした。いまは、メーカーのオリジナルの三面図をベクターで使っていて、全長54.08 m、全幅44.84 mは公表寸法とミリ単位で一致しています。図面と寸法表が食い違うところでは、寸法表が勝ちます。翼端には小さな縦のフェンスが、垂直尾翼には曲線のドーサルフィンが加わり、貨物ドアは写真どおりの位置にあります。
書類のことも考えました。機体登録簿には、貨物型A300-600の一部が別の機種コードA30Bで載っていて、そうした機体には以前、汎用の形が割り当てられていました。いまはどちらのコードでも同じA300-600が飛びます。


A300-600を最も多く飛ばしている3社はいずれも貨物航空会社で、私たちのモデルではそれぞれが自社の塗装をまとっています。左が写真、右が同じ側から見た私たちのモデルです。
A300-600F · FedEx


A300-600F · UPS


A300-600F · DHL


メーカーの図面では、737-800の垂直尾翼の後退角は36度です。実機は40度で、私たちのモデルも40度です。

