もうひとつのネットワーク
旅客機はADS-Bで自分の位置を知らせ、周りのアンテナがすべてそれを受信します。グライダーはたいてい黙っています。ADS-B付きのトランスポンダーは数千ユーロもするうえに重く、サーマルの中で丸一日もたせなければならないバッテリーの電力を食います。しかも義務になっているのは空域の一部だけです。そこでグライダーのパイロットはFLARMを積んで飛びます。位置と進行方向をおよそ1秒ごとに送る小さな装置で、同じサーマルで旋回する2機のグライダーが互いを見つけ、ぶつからないようにするためのものです。
同じ信号を受信しているのがOpen Glider Networkです。ボランティアが主にグライダーの滑空場に設置した地上受信機のネットワークで、私たちのネットワークとは別物です。その位置情報は、私たち自身についてのどの数字にも含めていません。データはODbLライセンスで公開されていて、map.flightsでは「グライダーとGA」レイヤーに描いています。「小規模飛行場」レイヤーにも使っていて、飛行場の横の点は、今日そこから誰かが飛んだことを示します。
グライダーは週末のスポーツで、データを見ればひと目で分かります。10月3日の土曜日には、641か所の飛行場から1万1,000便を超えるグライダーの飛行がOGNを通じて届きました。10月5日の月曜日は1,000便を少し超える程度でした。
どの装置もOGNの登録簿に登録されていて、所有者は表示してよいかどうか、登録記号を出してよいかどうかを選べます。追跡がオフなら、その機体は私たちの地図にまったく出ません。識別が許可されていなければ、毎日ラベルが変わる匿名のマーカーとしてだけ表示されます。登録簿にない機体も同じ扱いです。載っていないことは同意ではないからです。OGNの位置は24時間後に、地図からも、フライトのページからも、私たちのAPIからも消えます。
エコーのことも考えました。OGNの受信機はADS-Bも転送するので、最初はグライダーのレイヤーが、地図がすでに描いている旅客機のコピーでいっぱいになりました。9月9日には、ヨーロッパ上空でこのレイヤーにあった731機のうち564機がそうしたコピーでした。いまは、私たちのADS-Bが受信している機体はグライダーのレイヤーにまったく出てきません。
白いグラスファイバー
10月初めまで、3Dビューはグライダーを汎用の軽飛行機として描いていました。機首にプロペラ、主翼の下に支柱、固定脚。本物のグライダーはまったく違います。胴体はコックピットの後ろで細くなってほとんど棒のようになり、主翼は長さ15〜18 mで板のように薄く、多くはT字形の尾翼を持ち、下には車輪が1つだけです。
いまはグライダー固有の形があります。自由なライセンスの図面と両側の写真から、OGNのデータで最もよく飛んでいるASK 21、木と鋼管と羽布でできた古いASK 13、単座のLS4とディスカス、そして自力で離陸できる2機種のモーターグライダー、SF 25ファルケとスーパー・ディモナを作りました。機種はOGNの登録簿から、ADS-Bなら機種コードから取ります。グライダーだということしか分からない機体には、全幅18 mの汎用の複座機を当てます。
どれも白いのは手抜きではありません。現代のグライダーはグラスファイバーと樹脂でできていて、樹脂は強い日差しで軟らかくなります。夏の飛行場で暗い色の胴体は熱くなりますが、白なら大丈夫です。色が入るのは、たいてい翼端と機首くらいです。


地上のグライダーは水平には立っていません。車輪1つではバランスが取れないので、片方の翼端を地面に着けています。私たちのモデルも同じです。傾きは機種ごとの形から計算するので、ASK 21は9度、ASK 13は11度傾きます。どちらの翼を着けるかは機体ごとに決まっていて、見直すたびに左右が入れ替わることはありません。
離陸のときは、グライダーが十分な速度になるまで、補助者が横を走って主翼を水平に支えます。私たちのモデルも離陸滑走中に同じようになめらかに水平になります。ファルケとディモナは車輪が2つあり、実機と同じく水平に立ちます。

ロープ
ほとんどのグライダーは曳航機に引かれて空に上がります。曳航機は数十メートルのロープでグライダーを高度400〜600 mまで引き上げ、そこでグライダーのパイロットが離脱します。ところがデータの上では、これは2機の別々の機体、間に何もない2つの点です。ロープは私たちが補わなければなりません。
曳航は2機の飛び方で見分けます。グライダーと動力機が前後に接近し、同じ針路、同じ速度で、そろって上昇している状態です。その間に実際の長さのロープを張り、2機を同じ瞬間の位置で描くので、ロープが宙で途切れることはありません。
ロープは棒ではありません。曳航機が引いている間はぴんと張って、ほぼまっすぐです。グライダーが曳航機に追いつくとたるみ、垂れ下がって波打ちます。これは現実と同じで、グライダーのパイロットが恐れる瞬間です。たるんだロープは急に張って衝撃が来ることがあるからです。離脱後は、リングの付いた先端が曳航機の下に垂れ、しばらく引きずられていきます。そしてロープはフェードせずに一度に消えます。


その間、機体はバンクを取ります。旋回中は2機とも、速度と旋回率に応じて傾きます。曳航機の後ろのグライダーは、ロープに引かれて旋回に入ったところで少し遅れて傾きます。曳航中のバンクは浅いままです。離脱してサーマルの中で1機になると、グライダーは40度を超えるほど深く傾けて旋回します。
OGNから来るグライダーでは、これを見せるのがもっと難しくなります。位置が数秒に1回しか届かないからです。それでも旋回は見えます。まばらな点からつなぎ合わせる必要があるだけです。
ロープを描くべきでない場面も考えました。同じサーマルで接近して旋回する2機のグライダーは曳航ではありません。編隊飛行する2機の動力機も違いますし、離陸前に草地に並べて置かれたグライダーはなおさらです。ウインチで発航するグライダーには、データ上に2機目がいないので、ロープもありません。

着陸のあとで
グライダーのパイロットは着陸し、機体を格納庫に押し込み、夜になってその日の飛行がどうだったかを見たくなります。だからOGNから届くグライダーの飛行には、map.flightsにそれぞれ専用のページがあります。飛行場の発着記録からも、地図上のグライダーからも、パイロット同士が送り合うリンクからも開けます。
ページには、地図上と、パイロット自身の飛行場の上空の3Dで航跡が表示されます。航跡から地面まで垂れたカーテンは、グライダーがどれだけ速く上昇していたかで色分けされ、曳航機もデータにあれば、最初の部分には曳航機の航跡も描かれます。グライダーがどうやって空に上がったかも分かります。曳航機の後ろか、ウインチか、自分のエンジンか。サーマルにはそれぞれ番号が付き、平均上昇率、獲得高度、旋回数が示されます。風がサーマルをどう流したかから、高度ごとに風がどこからどれくらいの強さで吹いていたかを割り出します。サーマル間の滑空からは、グライダーが実際に出した滑空比が分かります。
その下には、うまくいったこととさらに良くできたことが並びます。どの行にも数字と、それがどれくらい確かなのか、そしてその理由が付いています。ほかにもグライダーが飛んでいたときは、彼らにとって空気がどう働いていたかも、常に匿名で示します。そして24時間後、ページはOGNの位置とともに消えます。

離脱しても、私たちのロープはただ消えるわけではありません。本物の飛行場の上空と同じように、リングの付いた先端がしばらく曳航機の後ろではためきます。