map.flightsストーリー

第13話(全26話)2026年8月〜10月

本当にそこにある天気

世界中の空港が、30分ごとに天気についての短い電報を発信しています。私たちは8月11日からそのすべてを保存していて、そこから空港の天気ページ、3D空港の上の雲、濡れた舗装面、滑走路脇の吹き流しを作っています。

カメラを地平線に向けて傾けた3Dのプラハ空港:灰色の雲層を伴う積雲とその上の巻雲、下にターミナル、管制塔、駐機中の機体
4,000フィートに散在する積雲と、その上の切れ間のある雲層。気象通報が描写するとおりのプラハです。天気を手動で設定したデモ用の場面です。

誰も捨てない電報

空港の気象観測所は30分か1時間ごとにMETARを発表します。その文面は電報のようです。「+TSRA」は雨を伴う激しい雷雨、「-SN BR OVC008」は弱い雪、もや、800フィートの曇天。パイロットは進入のたびにこれを読みます。たいていのフライトトラッカーは最新の通報を表示し、次が届いた瞬間に忘れてしまいます。

私たちは保存しています。8月11日から、通報を公開しているすべての空港のすべての通報を、何ひとつ削除せずに。10月5日までに5,748の気象観測所から1,170万件に達し、その日1日だけで5,589か所が通報しました。さらに3,209空港からの50万件を超える予報が加わります。

空港の天気ページはこれでできています。まずは現在。気温、ひとことで表した空の様子、そしていまパイロットが有視界で飛んでいるか、計器で飛んでいるか。それから過去を振り返ります。1日、1週間、14日間、または1か月。気温と露点は曲線で示し、通報が欠けているところでは隙間に線を引かずに途切れさせます。風配図は、風がどの方向から最も多く、どれだけの強さで吹いたかを示します。そしてカレンダーは、1マスが1時間で、飛行条件によって色分けされています。晴天の緑から、滑走路がほとんど見えない霧の紫まで。通報のない時間は空白のままで、緑にはなりません。

各日の横には、同じ日の出発便の遅延の割合が並び、相関は原因ではないとはっきり書き添えています。霧と遅延がぴたりと重なることもあれば、その月で最悪の天気の日がまったく定刻どおりだったこともあります。期間内で最悪の日には、地図を開いて当時の交通を再生するボタンがあります。そして生のデータが欲しい人は、期間内のすべての通報を表としてダウンロードできます。

ダブリン空港の天気ページ:風配図と飛行条件のカレンダー。各行が1日、各マスが1時間で、晴天から霧まで色分けされ、ウインドシアのあった日に印が付いている
14日間のダブリンの天気ページ。1マスが1時間で、通報のない時間は空白のままです。

本当にそこにある雲

3D空港の上を雲が流れていきます。それもどんな雲でもよいわけではなく、本当にその上空にある雲です。通報には空のどれだけが雲に覆われ、雲底がどの高さにあるかが書かれているので、「SCT035」は空港から3,500フィートに雲底がある散在する雲になります。観測所から見えない空港の周囲や上空では、GFS予報モデルが、どこで雲が厚くなり、どこで晴れるか、そして全体の上に巻雲があるかを補います。通報が晴れと言っていれば、予報モデルがそれを覆すことはありません。

雲は種類ごとに描き分けています。積雲は雲底の高さでぴたりと平らな底とカリフラワーのような頂、曇天の下には低く灰色の層雲のシート、中層には小さな綿雲と灰色がかったシート、上空には巻雲の細い筋。空のどれだけが覆われているかで残りが決まります。ぽつんと浮かぶ数個の雲、青空の隙間がある群れや列、穴のあいた雲の広がり、あるいは切れ目のない層です。通報が塔状の雲や雷雲に触れていれば、雲は高く伸び、色が暗くなります。

光は空港の上の本物の太陽から来ます。昼は白い頂と陰になった底、日没にはオレンジとピンク。低い雲が灰色になった後も、高い巻雲はまだ太陽の光が届くので輝き続けます。風は雲を風下に向かって列に並べ、その影が空港を横切っていきます。

雲を見るには空が必要なので、カメラをほぼ地平線まで傾けられるようにしました。最も深い角度では画面の約3分の1が空になり、空港はその下に見えたままです。そして雲が、見に来たものを隠してはいけません。機体は雲の中でも常に丸ごと描きます。低い曇天を見下ろすと、見ている地点の周りで雲が開き、空港は見えたまま、雲層は遠くまで続きます。カメラと空港の間に入る積雲は溶けて消えます。最も遅い端末では雲をまったく描かないので、場面がカクつくことはありません。そして場面自身も告げている、正直なひとこと。高さ、雲量、種類、光は通報と一致していますが、一つひとつの雲の形はイメージです。

曇天の下の同じ景色:同じ高さに隙間のない灰色の雲層が続いている
プラハ空港周辺の田園の上に、青空を挟んで散在する積雲と、地面に落ちるその影
散在曇天
雲底4,000フィートのプラハ周辺の同じ景色。左は散在、右は曇天です。天気を手動で設定したデモ用の場面です。スライダーを動かしてみてください。

雨、雪、濡れた舗装面

場面は空港の通報を毎分読み込み、天気が変わるときは跳ばずになめらかに移り変わります。雨は風に傾いた細い筋として降り、霧雨はさらに細かく、雪はゆっくり揺れる雪片、ひょうは小さく明るい粒です。雪が降ると芝生、田園、屋根は白くなりますが、滑走路とスポットは暗いままです。本物の空港では誰かが除雪するからです。

場面は、もうやんだ天気も覚えています。雨の後、舗装面はしばらく暗く光ったままで、夜には滑走路灯、エプロンの照明塔、地上の機体の灯火がその上に長く映り込みます。最近雪が降ってその後解けていなければ、晴れた空の下でも景色は白いままです。積雪や滑走路の濡れ具合は測っておらず、場面はそのことをはっきり言葉で示しています。

霧は地平線に向かって濃くなり、カメラの近くでは薄くなります。濃い霧の中でも、機体と滑走路は見分けられます。嵐は光を暗くして太陽の影を消し、夜には地平線の低いところで雲を通して光ります。多くても1秒に1回で、画面全体が閃光に包まれることはありません。アクセシビリティのガイドラインは3回まで認めていますが、私たちは1回にとどめています。空港の周りの地面には本物の降水レーダーが敷かれています。測定された画像であり、予報モデルの推測ではありません。

過去を再生すると、天気も一緒に戻ってきます。場面はその時刻に有効だった通報を使い、機体の高度の補正に使う気圧もそこから取ります。通報がなかった場合は、天気を作り出すのではなく、ニュートラルな天気に切り替えてそう伝えます。

夜の雨:斜めの筋、灯火が長く映り込む濡れた滑走路、遠くに照らされたエプロン
空港の雪:暗い滑走路と誘導路の周りの白い芝生と田園、降る雪片
濡れた滑走路に映り込む夜の雨と、滑走路を暗いまま残す雪。アプリ自体が用意しているデモ用の場面です。

同じレーダーは平面の地図にも、オンにできるレイヤーとしてあります。ヨーロッパとアメリカ合衆国では5分ごとに更新される本物のレーダー画像です。レーダーの届かない海の上では予報モデルが引き継ぎ、暗めに表示して別の名前で示します。レーダーは測定し、予報モデルは計算するもので、この2つを1枚の画像に混ぜてはならないからです。レーダーは雨ではないもの、たとえば晴れた夕方の昆虫や乱気流も捉えるので、空が晴れているヨーロッパ上空では、そうした孤立したエコーは除いています。

アメリカ合衆国南東部とフロリダの上の地図の降水レイヤー:緑、オレンジ、赤のレーダーの雨の帯と、大西洋上の暗めで粗い予報モデルの推定のマス
10月5日夕方のアメリカ合衆国南東部。陸上はレーダー、海上は暗めに表示した予報モデルの推定です。

吹き流しから2,000フィートまで

同じ通報には風も含まれていて、滑走路脇の吹き流しがそれを示します。パイロットはひと目で風向と風の強さを読み取ります。本物の吹き流しは5本の縞が交互に並ぶ円錐形で、およそ3ノットごとに縞1本分ふくらみ、15ノットでまっすぐ水平に伸びます。

私たちの吹き流しも同じです。口のほうからふくらみ、ふくらんだ前半はほぼ水平を向き、たるんだ残りは垂れ下がって、ふくらみが終わるちょうどその場所で折れ曲がります。突風のときは平均風速と最大瞬間風速の間で脈打ち、風向が変動するときは通報された範囲でゆっくり揺れ、無風のときはだらりと垂れ、夜は照らされます。吹き流しは地図に記録された場所に立っています。地図にない場所で作り出すことはありません。

9ノットの風を受けるオレンジと白の吹き流し:前半は水平、たるんだ端が下に折れている
18ノット、最大瞬間28ノットの風を受ける同じ吹き流し:全長にわたって水平に伸びている
地図に記録されている場所に立つプラハの吹き流し。左は9ノット、右は18ノットで最大瞬間28ノット。風はこの画像のために手動で設定しました。

通報の最後に、たいていの読み手が読み飛ばす短いグループが付いていることがあります。「WS R28L」、滑走路28Lのウインドシアです。ウインドシアとは、短い距離で風向や風速が急に変わる現象です。巡航高度なら機体はひと揺れでやり過ごします。進入中は速度が遅く、高さも数十メートルしかありません。数秒のうちに向かい風が追い風に変わると、余裕がいちばん少ないまさにその場所で、速度と高度を失います。パイロットは前を行く乗員、管制塔、一部の滑走路周辺のシステムからそれを知らされ、報告が続いている間は観測所がMETARの最後に付け加えます。TAF予報は事前に予告することもあります。「WS020/21045KT」は、地上2,000フィートで210°から45ノットの風という意味です。

ウェブでもアプリでも、すべての空港の天気ページに、どの滑走路でウインドシアが報告されているか、いつから途切れずに続いているか、最新の報告がどれだけ前のものかを示すカードがあります。50分前の警報と、たったいま届いた警報とでは情報としての意味が違います。予報からは各期間を高さと風とともに個別に並べ、高さには「地上から」とはっきり書いています。地図上の機体の高度は海面からのもので、デンバーではその差が1.5キロを超えるからです。ウインドシアのあった日にはカレンダーに印が付きます。原因や強さなど通報に含まれないものは推測しません。そして何も見つからなかったときも、カードは空気が穏やかだったとは言わず、ウインドシアを報告した人がいなかったとだけ伝えます。

10月5日までの30日間に、177の空港がMETARでウインドシアを報告しました。テネリフェ・スールが群を抜いて多く、台北、モスクワ・ドモジェドヴォ、リスボン、アンタナナリボ、マスカットが続きます。予報にウインドシアがあった空港は333で、1か所を除いてすべてアメリカ合衆国、カナダ、アラスカ、ハワイにあります。その例外は南極のマクマード基地の飛行場です。

スマートフォンで見たダブリンの天気ページの「ウインドシア」カード:滑走路28Lでウインドシアを報告中、14:00 UTCから、最新の報告は15:30 UTCで13分前。TAF予報では予想なし
アラスカのピーターズバーグの同じカード:通報にウインドシアはないが、TAF予報が3つの期間で予想している。地上2,000 ft、風向130〜140度
ウインドシアのカード。滑走路28Lでウインドシアを報告していた10月2日午後のダブリンと、予報が地上2,000フィートでのウインドシアを予想していたアラスカのピーターズバーグ。

天気の通報がない時間は、カレンダーの空白のマスのまま残ります。こっそり緑になることはありません。